一ヶ月におよぶさとうきびの収穫作業がようやく終わりをむかえました。
後半、寒波の前にうかつにも体調をくずしてしまい、なかなか思うようには進みませんでしたが、それでも何千本、いや何万本にもせまるさとうきびを一本一本、手でカットし尽くしました。
夜明け前の早朝では草刈機を使えないため、いまのところ全部手刈りで収穫をしています。
おかげでいまもひどい肩凝りです。
さて、さとうきび栽培5年目となる2023年度は、いろいろな実験を盛り込んだ一年となりました。
特に施肥に関しては、肥料の有無や種類、回数やタイミングの違いにより、さとうきびの生育に顕著な違いが見られました。おおよそ予想通りです。
製糖においては、今回もいろいろな表情をみせたさとうきび。
安定はしないとすっかり腹落ちしてはいるものの、それでも少しでもさとうきびの性質が知りたい一心で、どんなときにどのような表情をみせる傾向にあるのか、今回はもっと細かくデータどりをしてみました。自分がたてた仮説が合っているのかの答え合わせもかねております。
さとうきびとお砂糖つくり。
まだまだ不明な点はありますが、今回肌で感じたこと。それは、野菜や果物でも見た目に大きくて立派なものは意外と大味だったりするように、さとうきびもあまり大きく育てないほうが、私たちの目指す上質なシロップがとれるということ。
見た目の立派さと中身の品質は必ずしも一致しないのだということをあらためておそわりました。
苗や株のポテンシャルや肥料の質、効き具合、効いている期間、その年の土の状態、天候など複合的な要素が絡まり合って生育度というのは変わるのですが、発芽から収穫期までの間にどのような成長過程を辿ったのかも重要なポイントです。
収穫期を迎えたさとうきびが、製糖するうえでベストな状態になっているように如何にもっていくかが、加工までする場合には特に大切になってきます。
思い返せば、2年目に初めてお砂糖をつくった年も、うっすらそのようなことは感じました。
お手製の肥料づくりに失敗したため満足に与えることができず、最終的には地力頼みとなった一年。
みためにはとても立派とはいえない状態のものが多かったのですが、蓋を開けてみれば、心配していた糖度(ここではbrix)もしっかり22度近く。お砂糖つくりも安定してつくりやすかったうえ、味わい深くて最高の出来でした。
当時は、みために小さくてもお砂糖をつくるうえでの品質には全く問題はないのね、くらいに思っていましたが。
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具体的になにが違うのかといえば、あまりにも大きかったり茎径が太かったりするさとうきびは、さとうきびの表皮の汚れもあくもたくさん出ますし、なんというか、野生味溢れる感じになります。表皮も節も非常に固くて中の水分も少なめです。
右側:お隣の畑の肥料が効きすぎたようで異常な太り方をしてしまったさとうきび(圃場内では無肥料で育てていました)
左側:通常のさとうきび
※影でわかりにくいかもしれませんが実際にはびっくりする太さです。
一方で、わりと細くて小さいさとうきびは、汚れもアクも少なめ。すっきりとしていて旨みもぎゅっと濃縮されている感じです。
それならばと、量より質を重視して肥料をあまりにも抑えてしまうとそれだけ収量も減ってしまいかねません。収量と品質のバランスを適度に保つ必要があります。単純に作付面積を増やせば良いというものでもありません。
どんなお砂糖を目指すのかによってもさとうきびの育て方は変わってくるので、そのあたりの方向性をきちんと見極めて、来年に活かしていきたいと思っています。
いずれにしても、大きすぎるものよりは小さいもの、色の濃すぎるものよりは薄めのもののほうが旨みがあるとよくききますが、どうやら真の話だったようです。
兎にも角にも、今年は全体的に虫の被害も本当に少なく、天災も免れ、無事に収穫も終わり、ひとまずほっとしております。
今年一年、さとうきびをとりまくすべてに、
こころからありがとうございました。