計算し尽くされたシンプルなおいしさ!マリールゥのパンケーキミックス

静岡県浜松市でさとうきびを栽培・加工しています。さとうきびやお砂糖、その他、食や暮らしにまつわるさまざまなことを毎月更新しています。

さて、今回はパンケーキのお話。

お店で食べるパンケーキも良いけれど、おうちで気軽においしくつくれたらうれしいですよね。


パンケーキの素材はいたってシンプル。家庭でも手に入る材料を混ぜ合わせるだけで簡単に作れそうですが、意外と「おいしく」焼くにはコツがいります。レシピもあふれていて自分に合うものがわからなくなるほど。さらに、ベーキングパウダーも結局使いきれずに余らせてしまいがちです。


そこで出番となるのがパンケーキミックス。
市販品はたくさんの添加物で調整されているのが一般的ですが、最近は素材にこだわったシンプルなタイプも増えてきました。

私ごとですが、「さとうきびシロップ」を作っている関係で、このシロップに合うシンプル素材のパンケーキミックスをあれこれ試していたのですが、

その中でも完成度が高く、単独で紹介したいと思えたパンケーキミックスがありました。

それが、「マリールゥのパンケーキミックス」。

個人的にはごく普通の、しっかり甘い昔ながらのパンケーキが好みなのですが、これは、一般的なパンケーキとは一線を画しています。

全粒粉が入っていて甘さは控えめ。でもその分、小麦の風味がしっかり活きていて食感もとても良く、不思議とまた食べたくなる素朴なおいしさなのです。配合もかなり緻密に計算されているようにも感じました。

そこで今回は、この「マリールゥのパンケーキミックス」についての個人的な感想を、実況を交えながらお伝えしていきます。


ちなみに、関係者ではありません。パンケーキを愛するただの一消費者です。

目次

「マリールゥのパンケーキミックス」とは?

このパンケーキミックスは、新潟で17年間マクロビオティックをベースにした玄米菜食カフェを営んでいた鈴木さんによって開発されました。もともとは、あるイベントでオリジナルのお土産を作ってもらえないかというご依頼から誕生したとのこと。

カフェの経営を通して、「食材を活かすこと」「誰もが同じ食卓を囲める料理」という姿勢を大切にしてきた経験から、卵を使わずとも豆乳や牛乳だけでふんわりもちっとおいしく焼けるレシピとなっています。


現在は家族で神奈川県三浦市三崎に拠点を移され、パンケーキミックスの製造と販売を専門として引き続き活動されています。

定番のORIGINALの原材料は、北海道産小麦粉と全粒粉、お砂糖、塩、そしてベーキングパウダーのみ。
素材にこだわったシンプル構成で、安心して食べられるのも魅力です。パッケージも素朴で潔く、商品コンセプトと非常にマッチしています。


種類はORIGINALのほかに、焙煎玄米粉がメインでお砂糖不使用の「いなほパンケーキミックス」、変わり種としてダージリン茶葉とレモンパウダーが配合された「PANCAKE1155」、三崎産ゆめかおりの全粒粉を使用した「港町のマリールゥ」など。「抹茶」も新たに加わっています。


現在では200店舗以上で販売されるほど人気の商品に成長し、公式サイトではお得なセット売りも販売。


つくり手の鈴木さん自身が「何度食べても飽きない、おいしい!」と清々しいまでに言い切っている、そんなパンケーキミックスです。

実際に焼いて食べてみたときの感想

今回焼いてみたのは、定番の「マリールゥのパンケーキミックスORIGINAL」と「PANCAKE1155」。

パッケージを開けると、ふわっと小麦の香りがたちこめます。

ORIGINAL

PANCAKE1155

ボウルにそれぞれ100gを取り出し(2枚分)、無調整豆乳と油(今回は米油を使用)をくわえて泡立て器で軽く馴染ませます。

ORIGINAL

ORIGINAL

フライパンがあたたまったら、時間を置かずにすぐに焼き始めます。ベーキングパウダーが入っているので寝かせる必要はありません。
火加減は、弱火すぎず、中火か弱中火。表面がプクプクしてきたらひっくり返します。

ORIGINAL

どちらもきれいな焼き色に仕上がりました!

左がORIGINAL、右がPANCAKE1155

気泡が表面にも中にもたくさんあるのがわかります。

PANCAKE1155

実は、最初に購入したときと今回あらためて購入して焼いてみたときとでは、感じかたが違っていたところがあります。
初回は、開封してから焼き上がるまで、もっと全粒粉の香りがたっていたような気がします。全粒粉感が満載というか。


正直なところ、ちょっと好みではないかも、と思ってしまったのです。パンケーキで全粒粉が強いのはちょっと苦手で。

なので、お皿にのせてたっぷりシロップをかけて食べる前に、試しに焼きたてをちぎって口に運んでみたのです。

ところが不思議。あれほど香りで主張していた全粒粉が、口に含むと見事に全体と調和してる!全粒粉の風味はしっかり感じるのに、過剰ではなく、ほんのりと奥行きを与える程度。そのバランスが絶妙なのです。

さらに、最後に塩味が締めて全体がまとまる。甘みも弱すぎず、「ちゃんと」パンケーキとして成立している。食感もコンセプト通りの「ふわっ」と軽やかなのに「もちっ」とした食感。


気がつけば、一枚目はなにもつけずにそのままむしゃむしゃと立ったまま食べきっていました。


なんとも味わい深いパンケーキ。──これが、私の最初の出会いでした。

そして、あらためて今回。
全粒粉の香りは、初回と比べてかなり控えめに感じました。


もしかしたら、全粒粉の配合が以前と変わったのかな?とも思いましたが、もし変わっていないとすると、私の体調や気分、初回の記憶の思い込み、それに素材の個体差も少しは影響していたのかもしれません。


いずれにせよ、食感と口に含んだ時の小麦の素朴な味わいは、そのまましっかりと健在。今回も、気がつくと1枚目はなにもつけずにそのまま食べきってしまっていました。


なんだかんだ、やっぱり焼きたてが一番おいしいです。


もうひとつの「PANCAKE1155」は、ダージリン茶葉がふんだんに混ざっていて、しかも茶葉と全粒粉がとてもよく合っています。アクセントのレモンも効いていて、風味も豊かでこれもおいしい!

PANCAKE1155

「マリールゥのパンケーキミックス」の特徴

パンケーキを焼く環境は、人によって全然違ったりします。これらの変動要素を考慮して、なお安定した結果を出すのが「商品としてのミックス粉」の役割。
つくり手は、相当試作を重ねて、失敗しにくい誰でもおいしく作れるゾーンを探して配合しているはずです。


特にこのパンケーキミックスは、素材を極限までシンプルにしながら、ベーキングパウダー以外の添加物なしでその難しい壁を突破しているのが何気にすごいところ。




たとえば、


1.ふたつの小麦の配合比率

全粒粉の配合は特に難しくて、多いとパサつき、少ないと存在感が消えます。このミックス粉は、パンケーキらしいおいしさを損わずに、それでいてちゃんと小麦の風味を感じられるバランスを実現しています。


2.お砂糖とお塩の塩梅

甘さだけでなく焼き色・保湿にも影響する大事なお砂糖。お砂糖を抜いてしまうと、一気にパンケーキらしさが損なわれてしまいます。

このパンケーキミックスは、お砂糖の量を「パンケーキらしく成立する最小限」に調整しています。アクセントとなる塩味も強すぎず、最後のまとまりをしっかり演出しています。


3.卵の代わり

卵の代わりに少しの油と多めの豆乳を入れる設計で、しっとり感とコクを補充。むしろ、卵がないことで小麦の風味がより際立っているともいえます。


ベーキングパウダーも重要。単なる量の加減ではなく、反応速度にも考慮する必要があります。それらすべてが緻密な計算のうえで組み立てられているからこそ、ふわっともちっとの食感につながっています。


このように「卵なし・添加物ほぼなし・シンプル素材」という条件で、素朴な風味と心地よい食感を同時に感じられるのが、この商品の最大の特徴と言えます。

シロップや他のトッピングとの相性

このパンケーキは、せっかくなので、まずは何も足さずにそのまま味わってほしいなと個人的には感じています。

全体的に甘さ控えめで全粒粉が効いているので、デザート的なパンケーキを求めているのであれば、ちょっと違うかも、と思うかもしれません。


でも、その分トッピング次第で自由に楽しめる余地があります。甘系もお食事系のどちらにも対応できる万能タイプなので、好みに応じて味の調整ができるのも魅力のひとつです。

「さとうきびシロップ」との相性に関してですが、メープルシロップと同じくらいの糖度でも風味がしっかりしているので、全粒粉の風味と組み合わせると、甘みに加えて滋味深さもより感じられます。


また、乳製品との相性も格別なので、バターをトッピングするととてもバランスが良くなります。

「マリールゥのパンケーキミックス」の価値

小麦粉とお砂糖とお塩、ベーキングパウダー。
どれも家庭でそろえられる素材なのに、なぜわざわざ商品として成立するのか。


私が感じた価値は、大きく3つです。


1.全粒粉の絶妙なバランス
多すぎれば重く、少なければ存在感が消える全粒粉を、「香ばしさ」と「食べやすさ」で両立させている。

2.卵なしでも成立する設計
油と豆乳を組み合わせ、しっとり感とコクを補う。卵がないことでむしろ素材の風味が引き立ち、素朴で奥行きのある味に出会える。

3.誰でも迷わず、この味にたどり着ける再現性
レシピを探したり試行錯誤を繰り返さなくても、簡単に「おいしい」に出会える安心感を得られる。

だからこそ、そのままでも、どんなトッピングでも楽しめる。それでいて、食べる人を選ばない。
シンプルで普遍的だからこその、パンケーキと言えます。

あとがき

「マリールゥのパンケーキミックス」は、シロップをつけなくてもそのままで十分おいしいです。

それでも今回取り上げたのは、わたしが求めている価値観にぴったりマッチしていたことと、つくり手である鈴木さんが、おいしいもののために何十回と試行錯誤を重ねたであろう背景や想いが、食べていてしっかり伝わってくる、そんなパンケーキでもあったから。


公式サイト以外にも全国のお店で販売しているので、お見かけした際には是非食べてみてください。


以上、シンプルながらも完成度の高い「マリールゥのパンケーキミックス」の紹介でした。


公式サイトはこちら →https://marilou.jp/

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