はじめに
お砂糖にはたくさんの種類があります。
さとうきびが原材料のお砂糖に限定すれば、違いは主に精製度と結晶の大きさによるものですが、精製度といわれてもいまいちピンとこない、そもそもお砂糖ってどうやってつくられているのかもよくわからない、というお声をよくいただきます。
そこで今回は、イメージや雰囲気だけでなんとなく選んでしまうことのないように、製造工程表から簡単にわかる、お砂糖の種類をまとめてみました。
黒糖も粗糖も、きび砂糖も上白糖も、そしてわたしたちがつくるお砂糖も、あーそういうお砂糖なのね、と理解を深め、もっとお砂糖を楽しめる一助となれば幸いです。
お砂糖の主な種類
では最初に、製法で分類されているお砂糖の主な種類を見ていきます。
黒糖と加工黒糖の違いは以下の記事をご覧ください。
※和三盆は、一応含蜜糖に分類されてはいますが、「研ぎ」と呼ばれる伝統的な手法で蜜を完全とまではいきませんが取り除いています。
※きび砂糖などの薄茶色のお砂糖に関しては分蜜糖に分類されますが、いまのところ製法上の細かな定義がありません。厳密な調整や精製度はメーカーによって異なります。メーカーが自由につくり、商品名をつけて販売している状況です。
結晶の粒子が大きめなざらめやグラニュー糖は双目(ざらめ)糖、粒子が小さくてしっとりとしている上白糖や三温糖は車(くるま)糖などと呼ばれています。
その他の氷砂糖や粉糖、角砂糖や顆粒糖などのお砂糖は、精製したお砂糖をさらに加工してかたちを変えているので加工糖として分類されています。
さとうきびから含蜜糖がつくられるまで
次は、さとうきびから含蜜糖がつくられる工程です。
含蜜糖の最大の特徴は、蜜ごと結晶化しているのでさとうきびの風味をそのまま楽しめることにあります。そのまま楽しめるとはいっても、どのようなプロセスを辿るかによって姿かたちや風味はさまざま。また、つくり手の数だけ細かな違いがみられます。
わたしたちがつくっているお砂糖は、上図のように一般的な黒糖よりもさらに精製度が低いお砂糖で、さとうきびに最も近い風味豊かな味わいを楽しめます。
石灰の有無による違いは以下の記事をご覧ください。
◎石灰不使用→ さとうきびの風味をそのままたのしめるような味わいかたが最適!しっとりしていてくちどけもなめらか。
◎一般的な黒糖→ 黒糖ならではの独特な色味とコクをしっかり感じたい時に最適!水分含有量も石灰不使用と比較して少ないので、お菓子作りにも応用可能。
分蜜糖の粗糖がつくられるまで
続いて、製造工程❶の上澄み液から分蜜糖の粗糖をつくるまでの工程です。
石灰でクリアにした上澄み液をさらに濃縮したあとで、遠心分離機を使って2回蜜をとばし、ショ糖を晶出したお砂糖を粗糖と呼びます。
この段階では、まだ無色透明ではなく、とりきれなかった蜜の膜がショ糖に若干ついたうすーい茶色の状態です。含蜜糖のままでは保管や輸送になにかと不都合なので、さとうきび生産地で、蜜を分離させた状態の粗糖までを一気につくってしまいます。
この粗糖をもとに、さまざまな精製糖が作られていくので、原料糖とも呼ばれているのです。
最近では、この粗糖を白砂糖の代わりとして使うケースが増えています。
◎粗糖→とりきれずにわずかに残っている蜜膜がショ糖をつつみこんでいるので、甘さをストレートに感じたくないときには最適!
分蜜糖の精製糖がつくられるまで
最後は、精製糖がつくられる工程です。
◎薄茶色のお砂糖
粗糖もその他の薄茶色のお砂糖も、各メーカーで調整の仕方に違いはあっても、精製度でいったらそこまでの違いはないと思ってよいです。粗糖とおんなじ、甘さの感じ方が控えめなのが大きな特徴です。
家庭での日常的な使用で甘さをそこまでしっかり感じなくても良いのであれば、わざわざ白砂糖を使う必要はないかもしれません。
白砂糖に分類されるようなお砂糖は、徹底的に蜜を取り除いたお砂糖です。ものすごい執念です。たったの0.数パーセント違うだけですが、ここまで徹底しないとクリアな色にはならないことを上図の工程が物語っています。
白砂糖の最大のメリットは、合わせる素材の邪魔をせず、とにかく甘さだけを補うことができる点です。
スイーツのために発展してきたといっても過言ではありません。
◎三温糖→甘さもコクもどっちもほしい時におすすめ!煮物に使うと粗糖や薄茶色のお砂糖よりも味に深みが出ます。
◎上白糖→コクはいらないけれど、しっとりとした甘さが欲しいときに最適!
◎ザラメ、グラニュー糖→ストレートな甘さだけほしい、レシピに忠実に作りたいときに。白ざらめはお菓子やパンのトッピングにも使われます。ザクザクジャリジャリした食感でもおなじみ。
まとめ
おんなじさとうきびから作られるお砂糖でも、製造方法によってこんなにも違いがあることがおわかりいただけたでしょうか。
今回は大事なポイントだけをおさえてわかりやすくまとめましたが、本当はもっと細かな工程を経てそれぞれのお砂糖になっています。
これからは是非、あなたの好みに見合ったお砂糖を、あなた自身で選択して、適量を楽しんでみてください。
参考文献:〈改訂版〉砂糖入門 日本食糧新聞社